現実逃避さえ出来ない世の中へ
最近、国内志向・安定志向で保守的な若者が増えているということが言われます。
そのような中で、一部にはフリーランス、起業、海外移住やグローバル人材化を目指すことを崇拝する流れも見られます。
実際に、IT系を中心に能力のある人は、起業や海外で活躍出来ている人もいますが、当然かなり能力のある一握りの人に過ぎません。
本日の日本経済新聞を見ると、大学卒新卒の32%、高卒で40%が3年以内で会社を辞めるそうです。
日本の場合、一定規模以上の会社は新卒以外で入社するのは困難で、新卒時に入った企業より良い待遇の会社に転職で行くのは至難の業ですので、多くの人が低収入の職に流れることになります。
今までの日本人は、年功序列&終身雇用や日本経済の好調で、今自分が置かれる状況に何らかの自尊心を持って安定した精神状況を保っていましたが、現在の日本は将来に希望を持つことが出来ずに精神的逃げ道が無くなって来ています。
そこで、その精神的な逃避先として精神衛生上の薬として登場しているのが起業や海外志向であると思われます。
実際問題、日本は極端にしても海外の国もお金か能力がある人しか来て欲しく無いでしょうし、起業も成功する人は当然のように一握りですし、それを長年継続させることはさらに難しいでしょう。
でも、実際に足を踏み出さずに現実逃避するだけでも、そのような現実逃避先の存在価値は十分あるような気が最近してきました。
就職して3年程度ではまだ25才くらい、その年齢でもう何も将来に明るい展望が見られなくなるとしたら、非常に暗い世の中になってしまうでしょう。
しかし、現実逃避さえ出来ない時代がもうすぐ来るのでしょう。
現在急激な金融緩和やGPIF資金の活用により、株価を上げていますが、正直これだけやってもこの程度、と思ってしまいます。
不動産などは、バブルを膨らまそうにも一部の都心以外はまったく膨らみません。
人手不足も進行しており、特に介護の現場では団塊の世代がこれから介護が必要になってきたら、国もこれ以上社会保障費は増やせない、人はいないとなれば、一定以上の資産を持っていない高齢者は身内に頼らざるを得ません。
そして、介護退職で労働力もさらに減り、外部に対しての価値を創造していない家族介護は、日本の国力の低下につながります。
悲観的と言われるかも知れませんが、最近介護をしている人を目にするようになり、
お金をそこそこ持っている人ですら、家族は非常に大変な思いをしているのを目にすると、税収と若年人口が間違えなく減ると予想できる中で、経済成長を目指すのではなくて、困難が間違えなく来るので、一から社会構造を見直して乗り切ろうというという方向に舵を切らないと大変なことになると思えてなりません。