スコットランド独立の住民投票で思う

 

スコットランド独立の住民投票は反対派の勝利に終わり、現在は約束した自治権拡大の議論に入ろうとしています。

 

日本人の感覚からいうと、現在のヨーロッパの他の地域でも今後起こると言われている独立運動というのは理解しにくいですが、歴史的な経緯などの説明を聞いて初めて「なるほど」と納得します。

 

ある程度自然の成り行きで国家の枠組みが出来ているヨーロッパでさえ、このようなことが起こっているのですから、欧米の主導により国境が引かれたエリアが多い、中東やアフリカで揉め事が多いのは、必然と言うことなのでしょうか。

 

日本は、島国でほぼ単一民族ということで、このようなことには当面ならないと思いますが、高所得者ー低所得者、高齢者ー若年者、東京圏ー地方などの利害の調整を巡り、そろそろ混乱が始まるのではないでしょうか。

 

グローバル化とIT化により、現在は国境線の意味は非常に薄れてきており、いままでの国家間の経済的な勝ち負けが、世界規模での所得二極化になってきています。

現在アメリカの所得二極化をはじめ、経済発展が著しい中国やインドなども二極化が進んでいるようです。

 

日本で言うと、東京圏に高所得者が集中し、地方の若い人は地元で食べられないので、東京圏に集まることになり、国の税収が落ち地方の頼みの綱である公共事業も減ってくれば、東京の富裕層とそれに依存する低所得者層、取り残された地方、という構図になってきます。

これから東京オリンピックもあり、これから5年間でさらに予想より一極集中が進むのでしょう。

国も経済圏を分散させようとする意志があるなら、一度やった東京でのオリンピック招致をすることに異を唱えたはずです。

おそらく、国家権力を司る人の中では地方はすでに切り捨てられていて、東京一極集中は既定路線なのでしょう。

 

人口がある程度東京圏に集中した時点で、地方が持つ意見は無視され始めるでしょう。選挙権を持つ人数も減りますし、年齢層も高いので、これから新しい政治勢力を生み出す力も無いでしょう。

 

スコットランドのように、明確に歴史的な区分けがあれば、今回のように「イングランドスコットランド」ということである程度まとまり利害調整もされるのでしょうが、日本の地方がまとまることはおそらくありません。

高齢のお山の大将が我を張り合って何も進まずに終わり、と言うことになると思います。

自治体に個別に支給されても1988年の「ふるさと創生1億円事業」のように、無駄なことしか自治体には出来ない、と政府には多分思われています。(新しいアイデアなどでは意見集約が出来ない。)

 

日本と英国はどちらが良いのでしょうか。

 

輸入に頼っている、食料とエネルギーを地方で競争力のあるものを作り出せればよいのですが、食料は農地が分散していて放棄地が多いと難しいでしょう。

これ以上他のアジアの経済力が上がってきて、日本の国力が下がってきたら安定供給されるのか心配です。