認知症を社会は支えきれるのか

 

平成22年の調査ですと、日常生活自立度Ⅱ以上(誰かが注意すれば自立できる)の認知症患者は、280万人で65歳以上の9.5%になっています。

軽度者を含めると462万人だそうです。

 

平成22年9月の調査ですと、上記の280万人のうち居宅に住んでいるのは、約50%の140万人となっています。

日常生活自立度Ⅱ以上の人数は、厚生労働省の推計で2025年に470万人になるとされており、これが2025年問題と言われています。

 

現在50%が何らかの施設や病院で介護されていますが、約1.67倍の人数になったら施設や病院の数が足りません。

特別養護老人ホームなどの入居型の施設は、国の財政状況を考えれば税負担が重く現実的ではないでしょう。

現在急ピッチで建設されているサービス付き高齢者向け住宅で、一部は吸収できるでしょうが、症状が進んだ場合はすべてが認知症に対応できるとは思えません。

 

また、現在は主に子供か子供の奥様が専業主婦であったり、早めに帰れるパートであったり、60才で年金の受給を開始して支えている人が多いと思われる50%の居宅の認知症患者は、共稼ぎが増えて70歳定年になったら家庭で支える人はいません。

 

基本的に国の方針としては、高齢者が住み慣れた地域や住まいで尊厳ある自立した生活を送ることができるように、ということで2025年向けて地域包括ケアシステムの構築をしているということですが、実際のところ試行錯誤をしている最中なのでしょう。

 

これからは、首都圏で高齢化が急激に進み、75才以上の人数は2010年と2025年の比較であると、埼玉県が2.0倍、千葉県が1.92倍、神奈川県が1.87倍、東京都が1.6倍です。

元々高齢者が多い地方は緩やかな増加だそうですので、団塊の世代の多くは首都圏に集まっているということなのでしょう。

 

これから一番重要なのは、企業が勤務形態を見直すことです。

休暇の確保(週休3・4日等)や勤務場所の流動化(自宅勤務・半日自宅勤務等)、休み易い会社、早く帰りやすい会社になることが必要だということです。

当然、給与は勤務時間で調整します。

 

税金が枯渇したら人が支えるしかないのです。

 

現在の企業が変われないなら、新しい企業が多少給料が安くても介護をしながら、気まずい思いや、不利になったりせずに働ける環境を作って欲しいものです。

 

でも、多くなると思われる子供のいない単身高齢者の認知症患者は、だれが支えるのでしょう。

そのころは有り余っている学校等の公共施設に集められて、少ない人数のボランティアの人に面倒を見られるのでしょうか?