ドイツ③ 移民急増で思ったこと

前回ドイツの移民について書きましたが、その後の展開は驚くほど速く進んでいます。

  

 

1、8月8日~15日 ミュンヘン周辺滞在中→ この時点でもかなりの移民

 

 

2、8月19日 ドイツ政府が1~6月で21万人だった移民が、年間80万人に

  なりそうだと発表

 

3、9月3日頃 海で亡くなった子供の写真が拡散、前後に移民が急増

 

 

非常に短期間で急展開していますが、今回の状況で何点か疑問があります。まずは、発表当初から疑問だったのですが、半年で21万人であった難民受け入れが下半期で4倍になると発表しているのは急増するのが解っていたということだと思いますが、その理由が詳しく説明されていないことが一つ、次が8月15日にミュンヘンを発ったのですが、ミュンヘン中央駅では住み慣れた移民らしき人はたくさん見かけましたが、難民がまとめて到着している様子はありませんでした。(電車の乗り降りと売店の利用で駅は頻繁に利用していました。)大勢の人が電車に乗り込んでいる写真が報じられているザルツブルク駅も同様です。おそらく急激に増えたということです。 

これは、何らかの事情で難民が急増するのが解っていて、予告的な意味でこれから難民が急増するという発表を行い、それを合図に一気にトルコなどにいた難民が流入したのだと思います。(逆に移民の受入数が激増することをニュースで見て、ドイツなら受け入れてもらえそうだと思って殺到したということもあり得ますが、それにしては早すぎます。)

 

何らかの政治的な事情があったことは間違いないと思われますが、あまり表に出せることでは無いから報道されていないのでしょう。

 

インターネット上では、「難民はかわいそう」、「ドイツは偉い日本も難民を受け入れた方が良い」とか「EUで経済的に一人勝ちなので当然」など色々反応がありますが、移民が増える前でも結構インパクトがあった状況なので、自分は「ドイツの人たちは本当に大丈夫なのか」ということがまず頭に浮かびます。

 

もちろん、内戦で故郷を出て行かなくてはいけないことは大変なことだと思いますが、自分が見た移民の人たちは、多くの人がイメージするように食べ物にも苦労するという人たちではありません。

全くお金を持っていないドイツまで来れない人達は、今でも難民キャンプで生活しているのでしょう。昨年の冬にシリア人の難民キャンプで資金不足により食料が無くなると報道しているのを見かけ何回か寄付をしましたが、今回の難民問題より深刻だったと思いますが日本ではあまり話題になりませんでした。

 

今回のことで思うのは、同じ少子高齢化社会であるドイツのチャレンジ精神です。

国は国として、少子高齢化対策、経済にプラスに働くかどうか、その他国際政治的な何らかの思惑もあるのでしょうが、対応するのは一人ひとりの国民です。トルコ人の移民問題の時も東ドイツの時もドイツは苦労した過去がありながら今回難民を受け入れています。また、ドイツは原発ゼロなどの新しいことにチャレンジもしています。日本のようにいつまでも「失われた10年」「失われた20年」みたいな後ろ向きな思考で、この二十数年ひたすらバブル崩壊前に戻ろうとあがいているのと対照的です。

 

自分なりにこの状況で日本がどうすれば良いかの意見を言わせていただければ、まず難民受け入れ国への資金援助とドイツへの専門家の派遣を公式に発表して行い、良い点悪い点を徹底的に調べて公表することです。

自分は手放しで難民受け入れをして欲しいとは思いません。しかし、チャレンジまで行かなくても、チャレンジの足慣らしで受け入れ国の現状認識をして国民に伝えて欲しいと思っています。

偉そうに言わせていただくと、日本人の反応はいつも情緒的な反応で、原発でも安保でも自分には、「賛成反対を強く主張する人」と「それを見て一歩引いてしまう人」という二分化してどの問題も議論が進まないような気がします。

 

労働人口の減少は間違いなく日本の国力を弱くしています。それに備えた一つの選択肢として移民の受け入れというものをまずは成功した国に学んで、その後にしっかり地に足を付けた判断をしたいものです。(今手を挙げている国は経験者ばかりですから、同じように瞬時に判断は出来ないと思います。)