解雇規制緩和について
自分自身、正社員で守られている側のごく一般的な会社員ですが、解雇規制緩和については、日本の社会問題の多くに関連してくる問題だと思い賛成します。
<プラスポイント>
①人材の流動化 ー モチベーションを持てる仕事に転職しやすくなる
②生産性の向上 ー 質の悪い管理職が淘汰出来る
おかしな社風も転職者が多くなれば指摘できる
新卒年功序列で無くなれば評価制度も適正に変化
③フレキシブルな働き方 ー 介護問題、少子化問題に寄与
④新規産業の創出 ー 転職市場が充実すれば若い人や大企業に囲われた
優秀な人が新しい事業にチャレンジしやすくなる
⑤社会構造の変化の促進 ー 新しい産業への人材移転が早く進めば、
社会構造の変化も促進できる
<マイナスポイント>
①現在の給与水準が保証されなくなる ー 将来設計が立てられない
②会社内の安定が妨げられる ー 終身雇用で辞められないからこそ
管理者が無茶な要求もしやすかったが
人材が流動化すると管理がしにくい
③好き嫌いで解雇される恐れもある
思いつくだけでこのようなことが挙げられますが、何故このようなことを考えるかと言うと、自分自身40代中盤になり、周りで子供の学費等や退職金のために我慢して会社に留まって働いている話を聞くことが多くなり、このような話を聞くといつも思うのが、「せっかくこれだけ日本は経済発展したのに、個人が幸せになるということが、まともに議論されていない」と思うからです。
視点が常に組織の側からの論理になっており、「会社にため」「社会のため」「国のため」等は美化されますが、個人として幸せになることを追求することがあまり議論されていないように思います。
海外旅行でも長期休暇を楽しむヨーロッパの人々に多く出会いますが、日本人は自分を含め短期の旅行者ばかりです。
自分は、「解雇規制緩和が進めば日本人の個人が見直される」と思っています。
人材が流動化すれば、良い人を常に集めるために、会社は条件を良くしなければなりせんので、子育てや介護が出来る条件も整ってくるでしょう。現在の正規・非正規雇用の差も縮小するでしょう。
おかしな社風な会社も転職組が多くなれば、考え直さざるを得ません。
今の日本の雇用慣習は、終身雇用から外れると著しく劣る職にしかつけなくなり、退職金も余りもらえなくなる。ということを人質にして、会社という不確かな組織に個人がエネルギーを吸い取られているように見えます。
戦争を知る苦労をした世代は、終戦時15才だった人がバブル崩壊時の1990年に60才で当時の定年退職でした。
その世代の人は、戦争が無く生活必需品がありプラスアルファのささやかな娯楽があれば幸せで、そのために必死で働けたでしょう。
右肩上がりのその時代に終身雇用は、労使双方に非常に寄与したシステムであったのだと思います。
現在の雇用の硬直化は、個人個人の幸せや、子育てや介護の必要性という多様化した
日本人の価値観を許さない悪い慣習であると思っています。
しかし、実施当初は大きな混乱をもたらすでしょう。
でもその過程で、得られるものに比べて過大な費用がかかる大学などの教育改革など、日本のおかしな社会制度も一気に改革が進むと思います。
現在の大企業とその従業員だけに目を向けた、政治の雇用への姿勢からするとおそらく当分は何も進めないでしょう。
自分の予想ですと、2025年の団塊世代が後期高齢者になるタイミングで大改革を行わざるを得なくなるでしょう。
社会保障費の枯渇、介護人材の人手不足から、お金持ち高齢者だけが快適な設備で介護され、お金が無い高齢者の家族は非正規雇用になり更に貧乏になるか、正社員の地位を守るために満足な介護が出来なくなったり、孤独死が増えたり、街中で認知症の高齢者が溢れるようになるでしょう。
その時に全てが見直されるのではないでしょうか。