五輪と介護問題

 

2020年の東京オリンピックまであと5年となりました。

招致合戦中は、反対派がその費用を介護へ、震災復興に使えるのではないか、等の意見がありましたが、実際お金を主に使うのは税収がたっぷりある東京都ですから、決まった後はさすがに声も小さくなりました。

 

但し、団塊の世代が五輪時に70代になることは変わりません。

この時期が日本の一つの転換点になるのは確かでしょう。

 

おそらく、建築・観光業界と関連業界は「五輪まで」は盛り上がるのでしょうが、これから人数が減り高齢化する社会で、その後の日本の将来をどうして行くかという議論には全くなりません。

五輪後に残された東京のインフラやスポーツ施設の経済効果がどれだけ出るのでしょうか。スポーツをする若い人は減るのに新設の施設を作るとか、維持費でマイナスの経済効果だと思います。

プラスになるのは観光関連の一部に貢献するくらいでしょう。

 

誤解を招くといけないので言っておくと、自分自身は東京五輪は賛成です。

今後の外国人の観光の促進や、日本のイメージアップには十分効果があると思われるからです。

しかし、「五輪があるので将来は明るい」という現実を直視せず、将来を深刻に受け止めなくてはいけないことから目を逸らすのは反対です。

 

高度成長期に量産された郊外の大型分譲地は、不便な立地が多く山を造成して作ったところも多いので、坂があったり敷地に入るのに階段があったりします。

訪問介護をするにも、デイサービスに通うのにも人手が多く必要です。

国が一番危機感を持っているのは、介護従事者が伸び悩んでいる状況で、移民もダメであると、介護する人がいなくなることです。

一所に集めて効率的に介護したいので、サービス付き高齢者住宅の建築を国は後押ししていますが、持ち家率が高い日本の高齢者は実際に介護が必要になるまでは、わざわざお金をかけて賃貸住宅に入ろうとはしません。

 

そうなると、どうなるかと言うと、お金がある人は介護付きの立派な施設に入居して、中間の人は自宅で親族が犠牲になり何とか無理して介護(子供はフルタイムの職から離れざるを得ない人も増えます。そして、親の年金収入や貯蓄に一部依存するようになります。)、お金が無い人は痴呆症などの人は街に溢れ、孤独死は珍しいことではなくなるでしょう。

 

このお金の無い高齢者の対策、介護による家族の犠牲について、もっと議論されていいように思います。

 

日本人は、自分たちは頭が良いと思っているかも知れませんが、政治への対応を見ていると、すごく情緒的な行動が多く容易にマスコミにコントロールされるように思いますし、ネット上に見られる一部深く考える人は自分も含め行動力がありません。

 

最近思うのですが、政府の意見を反映していると思われるNHKでは最近悲観的な特集をすることが多いのに、世論があまり動いてきて無いように思われるので、政治家も変われないのではないでしょうか。

 

経済問題も介護問題もバランス良く意見できるような層が本当は日本でも主流にならなくてはいけません。

と言いながら、自分も平日会社にエネルギーを搾り取られ、このような駄文を書くことしか出来ないのですが。