混とんとする社会

 

さて、解散総選挙ということですが、野党はバラバラで、世界は全く変わってしまったのに、昔の高度成長時の元気の良い日本を取り戻そうという「懐古趣味」な政治に期待をしている人たちに投票される自民党が勝つのでしょう。

 

実際、これだけ利害関係が二極化というか多極化しているのに、小選挙区制であると人口バランス的に若い人には勝ち目はありません。

年代別選挙にでもしないと当分国の恩恵は受けれません。

さらに、今まで税金のバラマキで調整していた様々な利害についても、これだけ税収が落ちてしまえば無い袖は振れない状況です。

 

一定以上の年齢の人にとって、人口ボーナスで若い労働力と消費者がいたから成り立ったとか、冷戦時代に勝ったアメリカの恩恵を受けたとか、福祉を受ける側の年代が少なかったとか、そんなことは知ったこと無いでしょう。

「誰かが悪くて日本はこんなになったんだ」とか「昔と同じに戻せばいいんだ」ということなのでしょう。

 

国内問題だけでなく、今まで日本はアメリカに必要な経済大国であると共にその意向に従うことで存在感を示していましたが、経済力が落ちてきた時に国際政治でどのような存在感を出すのでしょうか。

1990年の湾岸戦争の時に、多国籍軍に参加せず1兆2,000億円を出しても当事者のクエートに感謝もされなかったことを思い出します。

経済力も落ちてきた時、軍事力も行使できない日本は国際社会で存在感を出すことは難しいでしょう。

さらにアメリカも高齢化して衰えつつある日本より、人口10倍の成長国家である中国を重視しなくてはいけないのは誰が考えても明白でしょう。

未だにアメリカがどんな状況になっても守ってくれるなどと、おめでたいことを考える人も少ないと思いますが、当然アメリカは国益になることを選ぶだけです。

その他の国もモラルではなく国益で動くのは当然です。

 

残念なことに、未だに紛争が止まない世界に軍事力は必要な力で、中国の軍事費は表向きだけで日本の3倍で実際はそれ以上と言われています。

陸続きで国境がある国と島国の日本の違いはありますが、それだけ投資をすればリターンがあるという判断をしているのです。

 

日本が、オーナー企業の社長のように能力のある独裁権限をもった人が運営したら、

最低限のセーフティネットの確保をしつつ、成長産業と有望な新事業に資源を集中し、選挙制度上重視せざるを得ない既得権者への保全には見向きもしないでしょう。

明らかに、変化しなくてはいけない社会に現在の選挙制度は向かないと言えます。

 

現在の日本の一番の問題は、国民が現在の日本のおかれた環境でどのような未来にするかということを考える人が少なく、惰性で投票や投票をしないでいる人が多いからにほかなりません。

そして、それは生産性が悪いのに長時間拘束する日本企業と、長いものに巻かれたがる国民性の問題なのでしょう。